揖について
揖と礼の違いが分かりますか?
揖(ゆう)とは、行射に入る前と終わりに行う礼で、立った姿勢、もしくは座った姿勢で、背筋を伸ばして上体を約10センチほど傾斜させた会釈のことを言います。(両手は動かさない)
これより上体が傾斜して倒れていると浅い礼に近くなってしまいます。
そして、ゆっくりと伸び上るような心持で静かに元に戻します。
呼吸は礼と同様に三息で行い、吸う息で上体を屈め、屈めたままで息を吐き、吸う息に連れて上体を元に戻していきます。
本坐での揖の意味は、射の始めは「お願いします」、射の終わりは「ありがとうございました」と礼の心以外にも、これまで縁のなかった自分と的を結び付け、射を行う場を作るものであることから、礼とは言わずに揖というのです。
揖は一見簡単そうに見えますが、体を単に倒すのではなく、立った状態でも座った状態からでも、背筋を真っ直ぐに伸ばし、常に体の軸を安定させ、気を充実させて綺麗な姿勢を保つことが大切です。
また、揖が座礼や立ち礼などと比べて大きく違うのは、45度まで体を倒すのではなく、上体を浅く折る程度で良く、共通点は、顎を引いてうつむくようにするのではなく、腰を中心にして上体を折って、腰から上を真っ直ぐに伸ばすことです。
いずれにしても揖は、行射の前と後に行う作法なので、試合や昇段審査などで出来ないと困るものです。
したがって、日頃の練習から、試合などを想定して気を抜かずに行うようにしましょう。
なお、立って揖をする場合に、体重をつま先にかけて踵を浮かし気味にする人も時々見かけますが、そうするとかえって体のバランスが不安定になるので、腰を引く心持ちで行うと良いでしょう。